乙女と森野熊さん
公園におっさん二人が来て私がこの場所がどこか聞いても二人は口をつぐんだままだった。
ずっと距離を取るように立ってただけで、私が警察に連絡したと言って男の腕を掴んでもおっさん達は動かなかった。動いたのは手伝ってと二回繰り返したときだ。
何だかばつが悪いと思ったのかはわからないが、おっさん達は私に怪我はとか何も聞かなかったのに、警察が来たら私のことなどいないかのように勢いよくしゃべっていて心の中でイライラとモヤモヤが溜まっていた。
逃げた男は別に包丁を思っていたわけでも、熊さんのように大きな男でもなかったのだからすぐにタックルでも何でもして逃げないようにすればいいのに、結局最後まで自発的に動かなかった。
私が弱くて男に襲われていたのなら、あのおっさん達は助けてくれたのだろうか、とても助けてくれたとは思えない。