乙女と森野熊さん
「俺だって後悔はするし、間違いも沢山する」
私が言わなくても熊さんにはきっと私が何を考えているのか、手に取るようにわかるのだろう。
「俺に新しい家族が出来た。その家族が危険に遭うのが単に嫌なだけだよ」
もう一度、熊さんが私の手をきゅっと包む。
「乙女ちゃんが考えること、そしてその行動は素晴らしいことだ、考えても行動できる人間は少ない。そういう人が増えることが世の中を安全にもしていく。
だから乙女ちゃんの行動も考えもとても正しいことなんだ。
警察官としてならそうやって賛辞を贈り終わらせるかもしれない。だけど俺はその前に乙女ちゃんの家族だ。
危険を伴う行動をするその時、俺が心配することも考えてくれたら嬉しい。
次そういう事に出会ってしまったら、自分を守った上でどう行動すべきか一緒に考えよう」