乙女と森野熊さん
「何のご用ですか?」
「ここに勤める家族に忘れ物を届けに来たのですが」
「ではあっちの受付に行って下さい」
私はお礼を言うと、指を指された先は何だか駅の受付のようなところの中に数名の人が座っている。
「あの、ここに勤めている家族に渡す物があるのですが」
「ここで待ち合わせですか?」
「いえ。呼び出してもらうことは出来ますか?」
さっきもスマートフォンを確認したが何の連絡もなく、念のためバイブレーションにしてあるがやはり何の反応も無い。
私がそういうと、年配の女性は
「アポイントメントが無い以上出来ません」
「渡して頂くのも無理でしょうか?」
「はい」
名前で検索してくれたらわかりそうなのに駄目だなんて。きっと爆弾とか入ってたら困るしそういうのは許されないのだろう。