BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~



「えー、なにー?」なんて首を傾げる希乃愛も楽しそうに笑顔を見せるから、空気が一気に和んだ。
本当にこの子がいるだけで、家族の中に愛が溢れていくから不思議だ。





「ばーば、おかぁたん……、またね」


頬を赤らめてもじもじとしながら、主任の腕にギュッと抱きつく希乃愛。

本人が混乱しないよう、私はママのままで、姉のことはお母さんと呼ばせようとなったのだ。
この子が成長して大きくなった時、私達の関係がどうなっているか分からないけど。





「お姉さんとお話出来た?」


2人を見送ってアパートの扉が閉じると、後ろから希乃愛を抱っこした主任が近付いてきた。


「はい、主任。ありがとうございました。姉に本音を伝える事ができて胸の奥の支えが取れ……」
「えー、主任?あーあ、香江ちゃんに主任って呼ばれると、まだ仕事中みたいだな。会社にいるみたいで疲れちゃうなー。ね、希乃ちゃん?」

「ねー、みっくん」


まだ呼び慣れてなくて、つい主任と呼んじゃうんだよな。




「………………くん」

「聞こえないなー」

「ねー、きこえないなー」

「……みっくんだってば!!」

「ははっ。なぁに、香江ちゃん?」

「ママ、おかお、まっかよー!」


そこには、みっくんに高く抱っこされてケラケラと笑う希乃愛がいた。



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