BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~





「はは、ぐっすり寝ちゃったね」

「やっと、ですよ……」


23時を回った頃。ローソファを広げたベッド上の真ん中に、希乃愛が大の字で寝転がる。
みっくんち、お泊まりー!と騒ぎ続けたこの子が力尽きてようやく眠りについたところだ。夕寝もしたから仕方がないのだけど。



「思い出すね。先月、香江ちゃん()に泊まった時もこんな感じだったよね」

「ほんと騒がしくてすみません……」

「ん、いーよ。久し振りに希乃ちゃんと遊べて楽しかったし」


みっくんが希乃愛に視線を落とし、頭を優しく撫でるから、私の心が軽くなっていく。



あの後、夕飯は簡単に炒飯を作って食べた。
この子が背負っていた子供用の小さなリュックには、母か姉が詰めたのかお泊まりセットが入っていて。この子の着替えやオムツ、パジャマ、歯ブラシ、お気に入りの絵本まで準備されていた。

お風呂も借りて入って、希乃愛はみっくんと遊び回った。その間に、コンビニで私用の歯ブラシ、洗顔セット、それと着替え(スウェット)を貸してくれるというので、下着(パンツのみ)だけ買った。




「じゃぁ、俺もお風呂入ってくるから待っててね」


床で眠ってしまった希乃愛を運んで隣に横になっていたみっくんが、上半身を起こし静かに立ち上がる。



「あ……、はい」


あれ?なんか、急に緊張してきたな。
ついさっきまで、希乃愛の声で溢れていた部屋がしーんと静まり返っていることに気が付いた。
心の整理するためにも、泊まることになったけど。今更ながら、大胆な展開なんじゃないだろうか。

リビングの電気を消しキッチンの小さな照明だけついた薄暗い部屋。
洗面所の奥からシャワーの音が響いている。


いやいや、希乃愛も一緒なんだから何もないってば!!


< 104 / 179 >

この作品をシェア

pagetop