BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
そうだ、寝たふりをすればいいんだ。
希乃愛が被る布団に潜り込み、ぎゅっと目を瞑った。
家の布団とは違う、男の人の匂いだ。急に緊張が走る。
もう少し話がしたいけど、キス以上に進むのは早い気がする。でも、一緒の時間は過ごしたい。
どうしよう……頭の中で思考がまとまらない状態で苦悩していると。
「香江ちゃん?……寝ちゃったの?」
ギシッとスプリングの音と共に、みっくんが耳元で囁くよう静かな声を出した。
目を閉じたままでも分かる。彼がベッドに手をついて端に腰をかけたのだ。
私の髪の毛を耳にかけて、頬をツンと指先で触れる。そのまま唇を弄るからくすぐったくて「ん、んぐぐ」と息が漏れてしまった。
「ははっ、やっぱり起きてた」
「やっぱりって……そんな。み、みっくんずるい、です」
目を開けると、ベッドに腰かけてこっちを見下ろすみっくんが見えた。暗がりの中でも彼が穏やかに笑っているのが分かるから、見透かされていたのだと恥ずかしくなる。
「良かった。寝ちゃってたら、寂しいなーって思ってたからね」
と、上半身を屈めたみっくんがチュッと軽いキスを落とす。と同時に、冷たい水滴が顔にかかった。
「……髪の毛、びしょびしょじゃないですか!?」
「うん」
「もう、ちゃんと乾かさないと風邪引きますよ」
「じゃぁ、香江ちゃんが乾かしてよ」