BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
みっくんのお母さんの台詞に一瞬、耳を疑った。
「えー、せきー?」
「ふふっ、みっくんと希乃ちゃんのママが結婚するってこと。そう、おめでたいことなのよ!」
「えー、けっこんー??やー、みっくんは のの のー!!」
希乃愛が目を丸くして、隣に座るみっくんの腕に慌ててしがみつく。
「はは。母さん気が早いよ」
「希乃ちゃん、2人が結婚したらみっくんと家族になれるのよ」
「……えー?えーー?」
呑気な笑い声をあげるみっくんに、両手を重ねて夢を語るよううっとり語りだすみっくんのお母さん。
そして、不安そうに大きな瞳を揺らす希乃愛に、頭がクラクラしてきた。
「昨日、香江ちゃんがお泊まりするって聞いていてもたってもいられなくて。朝1番で貰ってきちゃったわよ~」
テーブルの上に出されたのは1枚の書類。左上に"婚姻届"と書かれた入籍する時に出すアレだ。
保証人の欄には、すでにみっくんのお母さんと思われる名前が記入されていた。
「こんなに可愛らしくて優しくて、面倒見のいい娘《こ》がお嫁さんになってくれるなんて三槻の将来とっても安心だわぁ。ほら、三槻も名前書いて」
「母さん、とりあえず朝ご飯食べてからでもいいかな。お腹減っちゃってさ」
「もー、この子ったら何も作れないのよ?ご飯も、掃除もしてあげないとすぐ散らかすんだから」
「はは、恥ずかしいな」
動じることのない彼にも唖然とするしかない。
まだ付き合いだしたばかりだし、結婚の話なんて1度もしたことないのに。
「ちょ、ちょっと、待ってください。こんなの急に出せません」
「ふふっ、そんなすぐ提出しないわよ~。それともうちの三槻とはいい加減で中途半端なお付き合いなのかしら?」
「いえ、そんなわけでは……」
「う、うぇぇぇ!みっくんけっこんだめ!!みっくんは、ののとけっこんするのー!!!」