BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「奈良崎さん疲れてんの?なんか顔げっそりしてるぜ」
デスクに肩肘をついて大きな息を吐けば、隣の鈴木くんが首を傾げた。
「あ、うん……ちょっと寝不足で」
「そっかぁ、子供まだ小さいんだもんな」
「……」
両手を合わせて背伸びする鈴木くんが目に映る。
彼は笹木さんと同期で、定期的に飲みに行く仲だ。
私の事はどう思ってるのか。彼も彼女と私の話を面白おかしくするのだろうか。
「じゃぁ、そんな奈良崎さんにこれやるよ。疲れてる時は甘いもんだよな」
デスクの1番下の引き出しを開けて、ガサガサと何かをあさり。彼が差し出したの甘いチョコだった。
無邪気な顔に少しでも疑った自分に自己嫌悪。
「……あ、ありがと」
「来月さ、山崎主任について大阪出張入ってるけど。別に、俺の評価あげろとかワイロじゃねーからな」
「なにそれ、分かってるよ」
と笑いながら返事をしたと同時にポケットにいれたスマホが振動するから、一気に気分が下がる。
ミュートにしとかなきゃ。スマホの画面に目を落とすと、未読の真メッセージが10件と表示されている。
相手は──、交際相手の母親。みっくんの母
お母さんだ。