BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~


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「だめよ!みっくんはのの のーー!ののがみっくんとけっこんなの!!」


みっくんのお(いえ)にお泊まりした朝。
彼のお母さんが婚姻届なんて出してくるから、希乃愛が大泣きして大変だった。



「あらあら、そうなの。あと15年たてば出来るけど……」

「うぇぇ、ぇぇぇぇ……みっくん。ののとけっこんだよねぇ?」

「はは、希乃ちゃんありがとう。嬉しいよ」


希乃愛は泣きながらみっくんにしがみついて、離れようとしないし。お母さんは突拍子もないし。



「三槻。とにかく、婚姻届(これ)は書いちゃいなさい」

「うん、分かった」


え?そんな簡単に書いちゃうの──?

みっくんが左手で希乃愛の頭を撫でながら、母のいいなり通り手にサインペンを持つ。サラサラと抵抗もなく自身の名前を記入していくけど、その状況を見て言葉が出ない。

書き終えると同時に、彼の母「あとは、香江ちゃんね!」と言って私にソレを手渡してきた。


妻になる人と保証人が半分空欄状態の婚姻届。
軽い紙切れ1枚のはずなのになぜかズシリと重い。



「ねぇ、香江ちゃん。連絡先教えて!三槻のこと何でも教えるし、香江ちゃんからもお話聞きたいわ!」

「うん、いいね。香江ちゃんと希乃ちゃんが母さんと仲良くしてくれると嬉しいな」


結局、断れず連絡先を交換してしまったのが、間違いだったのかもしれない。




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