BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
でも、付き合ってる人の親に連絡先を聞かれて断るなんて出来ないし。
みっくんの方をチラリと見ると、すぐに私の視線に気が付いて、周囲を気にすることなく手をヒラヒラと振ってきた。
「うわ、堂々と恋人やってんなー」
「ちょっ……、別に、冷やかさないでよ」
鈴木くんがニヤーッと顔を緩めるから、恥ずかしさの余りて顔を背ける。
自分の顔が赤くなっていくのが分かるから、コップを片手に席を立った。
もう、凄くやりづらいんだけど……!!
全国の社内恋愛してる恋人達はどうしてるのだろうか。付き合っている事を内緒にしてる方が多いのか。
部署を出て給油室に入り、誰もいないのを確認してから大きな息を吐く。
「奈良崎さん、俺の珈琲も入れてくれるかな?」
「みっ…、主任……!?」
後ろから突然肩を叩かれると同時に、みっくんの声がするから驚きを隠せない。
「香江ちゃん出てくの見えたから俺も出てきちゃった」
「出てきちゃったって……珈琲くらい自分で入れて下さい!ていうか、ついてこないで下さい!!」
「はは、寂しいな」
「だって、仕事中ですよ?」
「丁度、一段落ついて香江ちゃんの淹れる珈琲が飲みたくなってね」
「……入れるっていっても注ぐだけじゃないですか」
ブツブツと口を尖らせながら、カップを2つ並べ珈琲の入ったガラス容器に手を伸ばしたところで──、
「鈴木くんと何話してたの?」