BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
後ろからふわりと抱き締められるから、心臓が止まるかと思った。
「ちょっ……、こ、ここ職場ですよ!?」
「うん知ってるよ。で、何話してたの?」
「つ、疲れてるねって……、チョコを、お菓子貰っただけです!」
「ふーん。前から思ってたけど、2人随分と仲が良いよね」
腰にガッチリと回された腕。耳元に当たる息。
彼の髪が頬に当たってくすぐったいし、熱が上がっていくのが自分でも分かる。
「あの、コーヒー淹れられないから離れて下さいっ」
「なんで?このまま淹れてよ。まぁ、あんまり遅いと怪しく思われちゃうだろうね」
「え、えー……」
「はは、俺はそれでもいいけどね」
私は良くない!これ以上言われたら嫌だし恥ずかしいし。それに、みっくんまで悪い評判が立っちゃうかもしれないのに。
震える手でカタカタと音を立てながらコップに注ぎ始めると、私の頬にみっくんの頬が擦り寄ってくるから余計に緊張が走る。
「香江ちゃん、真っ赤だね」
「……っ、」
なんとか注いでホッと一息ついたとこで、やっと回された手が離された。
後ろを向くとクスクスと穏やかに笑うみっくんがいて、怒りたくても言葉が出ない。
「今週末、空いてる?香江ちゃんとデートしたいな」
「えっ?」
「香江ちゃんと行きなさいって、母さんにランドパークのチケット貰ってね。もちろん希乃ちゃんの分もチケットあるから安心して」
「……わー、希乃愛も喜ぶと思います」