BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「おか、お母さんっ……」
慌てて四つ這い状態でリビングへ向かうと、母が呆れたように溜め息をついて口を開いた。
「あんた昨日のこと覚えてる?」
「お、覚えてない」
「昨日、あんたに電話かけたら会社の主任さんが出たのよ?あんたが酔っ払って動ける状態じゃないって言うじゃない?お父さんも帰ってないし、希乃愛も夜遅く連れ回せないし、山崎さんが送ってくれたのよ」
「全っ然、覚えてない」
「でしょうね。で、玄関で山崎さんに向かってゲーしたのよ」
「……」
一気に血の気が引いた。
"ゲー"って何??嘔吐のことでしょうか?
全身が震えて後ろを振り向くことが出来ない。
「山崎さん、本当にごめんなさいねぇ」
「いえ、大丈夫ですよ」
「ゲロまみれで帰すわけにもいかないから、お風呂をお貸ししたのよ。そうしたら、丁度お父さんが帰ってきてあんたの彼氏だと勘違いしてもう大変……」
「ひえぇぇ」
「お父さん、娘をよろしく頼むーって泣いちゃって。山崎さんに無理矢理ビール飲ませちゃってねぇ、車なのに。客室でお休みして貰ったのよ」
どうりで、見たことあるお父さんのスウェット着てると思った。
そして、私も臭い。アルコールとゲ◯の混じった最悪な悪臭いがする。
「とりあえず、シャワー浴びちゃいなさい」
「はぁい……」
過去に戻りたい。穴があったら入りたい。と、切実に願っても時間が戻ることはなかった。