BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「多大なるご迷惑をおかけしまして、大変申し訳ありませんでした…」
フローリングの上で正座をし頭を深く下げる。
お風呂から出ると、母と父はすでに仕事に出掛けていた。
うちのリビングで、主任と希乃愛がソファに座りテレビを見ているという状況は一体何なのだろうか。
酔っ払いの醜態まで見せて、嘔吐物までぶちまけて、希乃愛の面倒までみてもらうなんて意味が分からない。
「奈良崎さん、平気だから。頭上げて」
あぁぁ、主任の天使のように優しい声に心が痛む。
「本当にごめんなさい。もう何てお詫びをしていいのか分かりません」
「みっくん、ママおこらないでー」
「大丈夫、怒ってないよ。はじめての飲み会で飲まされちゃったんだよね。これから自分のペースつかめばいいから」
主任があまりにも穏やかに目を細めるから、優しさが伝わって胸がジーンとなった。のも束の間で。
顔を上げると、希乃愛が目をキラキラとさせて主任にぎゅっと抱きついているから驚いた。
「みっくん、かっこいい!ちゅーよ」
挙げ句の果てに、主任のホッペにチューと唇を何度も押し付けている。
「ちょっ……こら、希乃愛。主任から離れなさい!」
「やだー、みっくんすきだもん!」
「でも、迷惑でしょう?」
「やだ、やだー」
「なんでよ?いつもなら知らない人にこんなに懐かないのに……」
「みっくんはー、覆面ライダーミツキなの!」