BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~



「うええぇーーー、やー、みっくんもー!」

「だーかーら、みっくんお仕事なんだってば!しょうがないでしょ!?」

「むむー……!!」


「ごめんね、希乃ちゃん。本番は見に行けないけど、香江ちゃんに動画みせて貰うから」


恒例のビデオ通話。スマホの画面にうつるみっくんが、眉を下げて困ったように目を細めた。
希乃愛は頬を膨らませて涙目でぷるぷると震えている。でも、"お仕事"だけはどうしようもない。



「ほら、希乃愛。もう寝る時間だから、みっくんにおやすみして」

「……みっくん、おやすみなしゃい、ちゅー……」

「希乃ちゃんおやすみ」

「みっくん、すきよ」

「はは、俺も好きだよ」


私のスマホで繰り広げられるスピーカーでの会話は、まるで恋人同士の挨拶そのもので。同じ部屋にいるお姉ちゃんが声を殺して笑っていた。





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──────────



そして、希乃愛の発表会当日がやってきた。

近くの文化センターの小ホールが発表会の会場になっていて、希乃愛の出番は午後の1番最後の枠。
私と母、父、姉の4人で会場の受付広場で待機をしていると──、




「香江ちゃーん、久し振りね。で、希乃ちゃんの出番はいつ頃なのかしら?」

「……!?」


みっくんのお母さんが背後から現れた。




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