BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~




「こんにちは!うちの三槻がいつもお世話になってます」

「あらー、みっくんのお母さんなのかしら?」

「えぇ、三槻の母です。今日は希乃ちゃんの発表会、三槻が見に行けないと話していたので代わりに来ちゃいました~」


若作りな顔立ちにふわりとしたワンピース。
皆が驚く中、全く動じることなく話を続けていく。



「ご挨拶が遅くなってしまってすみません。香江ちゃんと希乃ちゃんについて、よくお話伺ってるんですよ~。とっても面倒見の良い優しい子だって!」

「こちらこそ、いつも希乃愛がみっ(三槻)くんに遊んで貰ってありがとうございます」

「可愛いですよね、希乃ちゃん。よく写真見せて頂くんですよ~」



でも、なんかうちのお母さんと仲良く話してるみたい。
私とお父さんとお姉ちゃんは2人に圧倒されて開いた口が塞がらない状態だけど、彼女達2人はニコニコと会話が弾んでいく。

その流れで会場の席まで一緒に座ることになる。
小ホールは小さいけど立派なステージがあって、後方の席になるにつれ高く階段上になっている。
私達は特等席とまでいかないけど、結構前の席に座ることが出来た。


お父さんとはあれ以来、口も聞いていなかったけど。私が三脚を組み立てられずにいると「貸しなさい」と部品をとられた。



「はぁ、相変わらず不器用だな」


だから、一言多いし。そもそも手伝ってなんて頼んでないし。私が子供の頃は、子供のイベントなんて観に来てくれなかったのに……。



「不器用なのは、お父さんじゃん」

「香江、せっかく組み立ててやってるのに!お前は……」




「静かに。そろそろ始まるみたいよ」


私とお父さんが言い合いになりそうになったところで、お姉ちゃんが「しーっ」と人差し指を口元に当てた。



< 158 / 179 >

この作品をシェア

pagetop