BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~



なんて言葉が耳に入ると同時に、希乃愛を抱っこするみっくんのすぐ後ろに小さくて可愛らしい男の子が立っていた。



「あたたくん!」

「ののちゃんのパッパッ?」

「ちがうの、みっくんよー」


小さな男の子が希乃愛を羨ましそうに見上げて、両手を出して「たかーい、だっこー」と抱っこのお願いをし出すけど。

希乃愛のお友達なのかな?


お母さんとか近くにいるのか……と、周りをキョロキョロ見渡すと赤ちゃんを抱えた女の人が息を切らしてやってきた。



「あらた!もー、勝手に行かないでよぉ!すみません……うちの子が」


女の人が頭を下げると、お姉ちゃんが間に入って挨拶をはじめていく。



「うめ組の子ですよね?発表会も一緒に出てた。奈良崎 希乃愛の母です。よろしくお願いします」

「あ、はい。笹川あらたの母です。いつも希乃ちゃんと遊んで貰ってるみたいで……」

「そうなんですか?こちらこそありがとうございます。保育園のことあんまり話さないので分からなくて」


いつもよりワントーン声を上げて繰り広げられる会話。これが俗にいうママ友の世界。私こんなの無理だからお姉ちゃんがいて良かった。




「ふふふ。パパ、優しそうですね」


女の人がみっくんに視線を向けて、そう口するから驚いた。どうしよう、希乃愛の父親は……。パッと慌てて姉の方に目を向けると──、



「いえ、うちは片親なので。彼は妹の彼氏で、今日は希乃愛の希望で来て見にきて貰ったんです」

「えっ、そうなんですか。すみません……」

「いえ、気にないで下さい」


筋を伸ばして堂々とするお姉ちゃんの姿があった。



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