BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
ふわりと身体が宙に浮いて、お姫様だっこをされたのだと理解するのに少し時間がかかった。ゆっくりと丁寧にソファに下ろされて、クッションの上に上半身が乗せられる。
ソファが軋む音がすると同時に、みっくんが私の上に両手をついて四つ這いとなった。
薄暗い部屋の中でも分かる。目と目が合って、みっくんの優しい瞳がより細くなるから。胸がぎゅっとなって、全身の熱が上がっていく。
大きな手で頭を撫でられ、柔らかい唇が額、頬、鼻、目蓋と顔中のいたるところに押し当てられては離れるの繰り返し。
両手を伸ばすとみっくんの硬い胸板があって「触ってみる?」と余裕そうな声で言われた。返事をする間もなく手を誘導されて、彼の服の裾から肌に触れる。
「硬い……全然、私と違いますね」
「はは、香江ちゃんは柔らかいよね」
「……きゃぁっ、や、あ、」
「可愛いね。でも、静かにね」
みっくんが自身の口元に人差し指を当てて"しー "とジェスチャーをみせた。
慌ててベッドの方に顔を向けるも。微動たりしない希乃愛と静かな寝息が聞こえてきたから、ほっと胸を撫で下ろす───間もなかった。
「ちょっと……まっ、待って」
下のスウェットに手をかけられるから、慌てて止めようとしたけど。
「うん、香江ちゃんが嫌ならしないよ」
「……」
「ちゃんと待つからね」
「…………………ですよ」
「うん?」
「……みっくん、ズルいです」
聞き分けのいい台詞を吐きながらも、子供みたいに唇を尖らせて、甘えるように頬をすり寄せてくるなんて。大きな子供みたくて、私よりずっと年上の大きな男の人なのに、胸がぐっと締め付けられる。