BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
カーテンの隙間から朝日が入り込む。
甘いパンケーキの匂いに誘われて、希乃愛が目を擦りながらベッドから体を起こした。
「マァマ?……ホットケーキ?」
「そうだよ。希乃愛の大好きなふわふわなやつ」
「えー、やったー、ふわふわぁ!!」
表情がぱぁぁぁと明るくなる希乃愛を見て、自然と私も笑顔になる。
「もう出来るよ。そろそろ、みっくんも起こさなくちゃね」
「わかったー!みっくーん、おきてー、あさよー!!」
「う、……ん、も少し…」
ベッド上に寝転がるみっくんに近づくと、まだ夢の中なのか布団を抱き締めて寝返りを打つ。
6連勤だったし、仕事の疲れも残ってるんだろうな。
「みっくん、パンケーキよ!!」
「希乃愛、みっくんお疲れだからさ……」
「………ちゅーしてくれたら、起きる…」
布団の中から右手が出てきて、グイッと手首を捕まれ引き寄せられた。バランスを崩してそのまま、希乃愛と一緒にベッドの上に転がってしまうから。
寝惚けてるみっくんを目の前にして、希乃愛と顔を合わせて「ぷっ」と吹き出した。
「もう…、仕方ないですね」
「みっくん、ちゅーよ!」
「………ん、あれ?」
みっくんの右頬に私が、左の頬に希乃愛が軽いキスを1つ落とす。その真ん中に寝惚けて目をパチパチとさせるみっくん。
「みっくん、パンケーキいかが?」
希乃愛が目をキラキラとさせて、あどけなく笑う。その笑顔が眩しくて愛おしい。この子はどんな大人になるのかな?
毎日、少しずつ成長していく1日1日が見逃したくない大切な思い出だから。
この朝も、この瞬間も、一生忘れたくない宝物になっていく──。