BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
後ろを振り返ると、みっくんが立っていた。
スーツだけど、さっきまで着ていたスーツとは違う。どこかで着替えてきたのだろうか。背中には隠しきれていない花束が見える。
「みっくん……?なんで、私より仕事上がるの遅かったですよね?」
「うん、車で先回りしてきた」
「え、なんで、……プロポーズって?え?」
「うん、サプライズにしようと思ったんだけどね。希乃ちゃんにバラされちゃったね」
みっくんの隣に駆け寄る希乃愛が「みっくん、ごめんねー」と舌を小さく出して「はやく、はやくー」なんて彼の背中を押した。
彼が鞄から出したA4サイズの封筒から出した1枚の紙。
それをスッと差し出してきた。
「香江ちゃん、これ覚えてる?」
「……あ、これ」
前に書いた婚姻届だ。
何処に置いたか分からなくなって、お父さんが見付けちゃって怒った婚姻届。お父さんによって捨てられたと思ってたのに、何でみっくんが持ってるんだろう。
吸い寄せられるようにその婚姻届に視線を落とした。
私達の名前の他に、保証人の欄にみっくんのお母さんの名前と、私のお父さんの名前が書いてあった。