BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「見た?営業課の主任のインスタ!」
「あの女の子誰よ??」
「山崎さんの子供とか?」
「前に結婚してたって聞いたことあるけど、年合わないよね」
「ほっぺたくっつけて仲良しじゃん」
「彼女の次は、子供とかショックなんだけど」
社内を歩く度に耳に入ってる話題。
主任は大丈夫だと言ったけど、私との噂は子供の噂に切り替わっていった。
それ、うちの希乃愛なんですけど!!
「奈良崎さーん、今日一緒にお昼食べよ」
「三浦さん!」
昼休み。三浦さんがお弁当を右手にひょっこりと顔を出す。
私と主任の噂の発端の張本人だけど、彼女の顔を見てとても懐かしい気持ちになった。
「今日は人少ないねぇ」
「はい、今日は外回りで営業に回る人多くて」
部署の人の予定が記入される白板カレンダーを見ながら、彼女が部署に足を踏み入れる。
「お、三浦さん久し振りー」なんて声が飛び交う中、私の隣のデスクに腰を下ろした。
「なんか奈良崎さんとお弁当って、懐かしいなぁ」
「本当ですよ!ずっと一緒に働きたかったです!」
「もう、また可愛いこと言っちゃって」
三浦さんが私をぎゅっと抱き締めるから、つい数週間前まで一緒に働いていた頃を思い出してしんみりしてしまう。
仕事が分からない訳じゃないけど、頼りになる彼女がいてくれる事がどんなに心強かったことか。
「でさー、奈良崎さん。山崎主任とどうなってんの?」
「……え?」
「インスタに凄い写真載ってたんでしょ?」
「はぁ??ど、どうもないですよ!!あんな……」