BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
画面越しの主任がフッと目を細めて、余裕そうな表情を見せるから。冗談なのか本気なのか分からなくて、どう反応すればいいのか分からなくなる。
「……か、会社で顔合わせましたよね?」
もうパジャマだし。素っぴんだし。
髪の毛だってセットしてないのに。急に自分の格好が恥ずかしくなって、通話終了ボタンに手を伸ばした。
「こうやって見ると、まだ学生みたいだね」
「子供っぽいって言いたいんですか?」
「いや、若いって事だよ」
「主任に比べれば若いかもしれませんが、もう大人です!」
「はは、俺なんか"おじさん"だからね」
仕事から帰ってきたばかりなのだろう。スーツ姿の主任が、右手でネクタイを緩め第1ボタンを外した。
主任のこと、おじさんだなんて思ったのとないのに。仕草も、雰囲気も全て大人っぽくて、私の方が子供過ぎてこの人には似合わないんだろうな。
「ま、毎日、お仕事遅くまで大変なのに。家に帰ってまで希乃愛がご迷惑をおかけしてすみません」
「気にしないで。何度もいうけど、希乃ちゃんの可愛さにこっちが癒されてるから」
柔らかい声のトーン。優しさが伝わってきて、胸がぐっと詰まった。
「あ、あの主任……」
「みっくーん、そろそろ夕食の準備できたわよー」
「あ、母さんだ。じゃぁ、奈良崎さん。また明日」