BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「……違う、違うよ。私のせいだ。私があんな酷いこと言ったから……。お母さんは警察に連絡して!わ、私、探してくる!」
マンションを飛び出して、希乃愛とよく行く公園へと向かった。
夕日が半分落ちた公園に、遊んでる子供は1人もいない。
ブランコと滑り台しかない小さな公園は、隠れる場所なんか無くて。あの子とするかくれんぼは、植木の影で膝をかかえるしかなかった。
あとは、散歩コース。振り返っていつもの歩道に体を向ける。
あの子は勝手に手を振り払って駆け出すと、必ず躓いて転んでしまうんだ。車も危ないし、無理やりでも手を繋いでいてあげないといけない子で……。
──希乃愛がママのこと嫌いなら、ママも嫌いだし!!
前に進む足をピタリと止めた。
私、なんであんなこと言っちゃったんだろう。
希乃愛が私のこと、本当に嫌ってるはずないのに。
あの子には、いつも笑ってて欲しいのに。
何処に行っちゃったの??
どうしよう、希乃愛に何かあったら。
怪我とか、誰かに連れ去られたり、事件に巻き込まれて殺──、
目頭が熱くなって、ボロボロと涙が零れ落ちていく。擦っても擦っても涙は止まらなくて、嗚咽も溢れ出ていく。
「うぅ、希乃愛ぁ……」
静かな遊歩道にポケットの振動音が鳴り響き、急いでスマホの画面に目を向けた。
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(お母さん)
希乃愛見つかった!
家に帰ってきて!
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