BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「希乃愛!!どこにいたの!?無事だったの?」
希乃愛はリビングのソファに座りテレビを見ていた。
母からのメッセージで家へUターンすると、玄関には見知らぬ黒い靴が2足並んでいた。それが、すぐに警察の人の靴だと理解する。
警察の人が見付けてくれたんだ。良かった……。安堵の息が漏れて、一気に緊張の糸が切れたように力が抜けていく。
「あ、あの。ありがとうございます……」
年配の男の警察の人に体を向けて、震えながら大きく頭を下げた。
「希乃愛!!良かった!無事でぇ」
「ママー、おかえりー、けいさつかん、いるよー」
半分泣きながら希乃愛に抱きつくと、キョトンと不思議そうに首を傾げる。
「何処に行ってたのよぉ。凄く心配したんだからね。ごめんね、ごめんね、希乃愛のこと大好きだからね…」
また目に涙が滲んできて、鼻を啜りながら、小さな体をギュッと強く抱き締めた。
「うぅ、良かったよぉ!!」
「ママー、どうしたの?」
「香江、実はね……」
お母さんが少し言いづらそうに言葉を濁したところで、部屋にいる警察の人が口を開いた。
「よくあるんですよ、小さい子が家の中で隠れて寝ちゃって親御さんが慌ててしまう事って」
「……へ?」
「行方不明だと思って警察に通報するケース」
「えぇっ!?嘘っ??も、申し訳ありません」
「いえ、本当に無事でなによりですよ。夏だと家の中でも熱中症になる危険もありますので、気を付けて下さいね」
「…………」