BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
突然過ぎて、ほっぺにキスをされたのだと理解するのに時間がかかった。
「ま、待ってくださ……んんっ!?」
一端目が合って、次は鼻先、瞼に軽く唇が触れて、最後に耳朶にチュッと音を立てひんやりとしたキスが落とされていく。
「ははっ、可愛いね」
「……か、可愛い!?」
カーーッと自身の熱が上がっていくのが自分でも分かる。
「奈良崎さんは、俺のこと嫌い?」
「き、嫌いじゃないですけど……いや、その」
額をコツンと合わせて、ぐりぐり重ねられる。彼の行動に頭がついてかなくて、心臓が大きく脈打ち出す。
こんなの誰だって、無理だよ──。
「じゃぁさ、さっき言ってたお礼。奈良崎さんからしてよ」
「……え?」
「頭下げられるより、奈良崎さんからのチューがいいな」
目の前の主任が私の両肩に手を置いて、下から覗き込むように首を傾げる仕草を見せた。
それは、いつもの彼より子供っぽく目にうつるから、胸がギュッとなる。
「ちょっ、はぁ??す、するわけ……」
「はは、してくれないの?希乃ちゃんは"すきー"ってチュッチュッしてくれるのに。駄目かな?」
いつも、穏やかで大人の余裕をみせる彼が、眉を下げて唇を尖らせてくるから。
主任ってこんなキャラだっけ?頭がぐらぐらしてきた。