BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「そういう事情があったんですね」
「……はい、説明不足ですみませんでした」
「いや、各家庭のプライベートな事情もありますし。もちろん、こちらでも最大限にフォローはしていきますが」
次の日。早退の件で部長から呼び出された。
誰かが給湯室の私と主任のやり取りを見ていたらしく。昨日の出来事も"希乃愛の存在"も、社内に知れ渡ってしまった。
希乃愛がいなくなったと連絡がきて、騒いでしまった私に責任があるのだけど。
重い気分のまま部署に戻ると、室内に残ってる社員の人達に一気に視線を向けられる。
「……お、おはようございます。昨日は突然の早退すみませんでした。えと、」
なんて説明を切りだそうと頭が真っ白になっているとーー、
「奈良崎くんのお宅には、小さなお子さんがいるそうです」
私のすぐ後ろから入ってきた部長が説明を始めた。
「誰でも大なり小なり事情はあるものです。小さな子を抱えてのお仕事は、とても大変な事なので、一緒に働く仲間こ理解協力も必要となってきます。どうか、皆さんよろしくお願いしますね」
「……だ、黙っててすみませんでした。これからもよろしくお願いします!」
部長の台詞に続いて大きく頭を下げる。
部署の人達はどう思っただろうか。影で何か言われてしまうのだろうか。
反応が怖くて下を向いたままでいると、隣に立つ部長がバンッと背中を叩いてきた。
「奈良崎くんは何も悪い事などしていないのだから、堂々としていなさい」