BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
胸がジンッとなって、一瞬目頭が熱くなった。
"堂々としていなさい"という部長の言葉に勇気付けられ、自分のデスクへ足を向かう。
「びっくりしたんだけど、マジで何歳で産んでたの?」
席に着いたところで、隣の鈴木さんが目を丸くしてこっちを見てくるから、苦笑いで返した。
そうだよね、普通こういう反応するよね。
"はぁ"と小さく息を吐いたところで、向こう側に座る主任と目が合った。
すると、ヒラヒラと手を振ってくるから、昨日の事を思い出してカーーッと頬が赤くなっていくのが自分でも分かる。
「奈良崎さん、どうしたの?」
「な、なんでも……ない」
「でもさー、俺と年変わんねーのにもう母親なんて凄ーよな。よく分かんないけど頑張って」
「あ、ありがと…」
「そだ、同期会。あれとか誘っちゃマズかった?小さい子いると飲み会とかあんま参加出来ないっしょ?」
「いや、それは大丈夫だから。楽しかったし。また誘ってね」
子供が小さいから夜は出られない。飲みに行けない。きっと人によって色んな意見があるんだろうけど。
ちらりと主任の方に目を向けると、もう仕事モードに入って午前の営業の準備に取り掛かっていた。