BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
三浦さんが私の胸ぐらを掴む勢いで聞いてくるけど。
あの人、もう言っちゃったの?信じられない!!
驚いて主任の方を見ると、ニコッと爽やかな笑顔を向けてきた。
そのまま席を立ち上がりこっちに向かってくるから、どう反応していいか分からなくなる。
「香……奈良崎さん。今から取り引き先のエステ店に行ってくるね」
すぐ横にきた彼が私の肩をポン叩き、腰を屈め耳元に息がかかる近さで本日の予定を説明してくる。
え、それ書いてあるよね?
部署内にある白板には各社員の外予定が明記されている。
「そのまま、接待に入るけど8時には終わるから今日の帰り奈良崎さんのお家に寄るね」
主任によって穏やかに続けられる台詞に唖然とするしかない。
いやいや、ここ部署なんですけど。
隣の三浦さんが凄い形相をしているし。部署内に残ってる人達はざわざわとどよめいて、困惑しながらも耳を澄ましているのが分かる。
「ちょ、ちょっと、何言って……来てください!」
「うん、どうしたの?」
彼の腕を掴んで引っ張るよう部署を後にした。
そのまま、急いで足を進め廊下の端にある自動販売機の前に移動する。
「何で付き合ってるとか言っちゃうんですか!?」
「奈良崎さんは俺と付き合ってないの?」
周りに誰もいないのを確認してから口を荒げると、主任がフッと余裕そうに口元を緩めた。