BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「昨日はすみませんでした。父が騒がしくて」
「はは。お父さん、本当に娘思いだよね」
次の早朝。マンションのエントランスから外に出る。
「あー、ちゅんちゅーん!」
「こら、希乃愛!急に走らないの!!」
希乃愛が道路に向かって走り出すから、慌てて手を繋いで3人で歩き出した。
結局あの後、主任は私の父によってお酒を飲まされてしまった。
お父さんが泣きながら語っていたらしく、夜中まで付き合わされたそうだ。車で来ていた主任は帰れなくなって、うちに泊まることになったのだ。
「二日酔いとか、大丈夫ですか?」
「香江ちゃんじゃないから。お酒弱くないし」
確かに杯で記憶飛んだけど、そんな馬鹿にしたように笑わなくても。
でも、今日が土曜日で良かった。主任は今から会社だけど。
「じゃぁ、主任いってらっしゃい」
「みっくん、いってらっしゃい!!ぎゅーーっ」
「希乃ちゃん、いってきます」
主任が希乃愛をひょいっと持ち上げて、胸元で抱き締めてる。
キャッキャ喜ぶ希乃愛を見て、抱きしめる相手間違ってませんか?なんてムッとしてしまう。顔に出てしまったのか、ふっと優しい笑顔を向けられた。
「香江ちゃんも。いってきます」
そう言って、ポンポンと撫でられるから、顔がかぁーーと赤くなったのが分かった。
なんか、欲しいものをねだった子供みたいで恥ずかしい。