BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「最初のうちってそういうの盛り上がるじゃない?なんかさー、そのうち義務っていうか、処理するだけの行為になってくんだよね」
「……」
「で、主任ってどうなの?」
「……」
「あっ、さっき聞かないって言ってたのにごめんね~。奈良崎さん真っ赤で可愛い」
目の前の彼女がそう口にして"ふふっ"と笑う。
完全に頭がフリーズした私は頷くことも否定することさえ出来ないけど、部署内が静まり返り聞き耳を立てられてるのがヒシヒシと伝わってくる。
「そろそろ時間だ。またね~」なんて言葉が続けられて、嵐が去っていくけど。
この空気なんとかしてよ!怖くて主任の方向けないんですけど!!
主任とは体の関係とかまだ全然なのに……と、ここでこの間の私の部屋でのできごとが脳裏に思い出される。
──試してみる?できるか、できないか
私の頬に触れた、大きくて優しい手の平。
ギュッと抱き締められて伝わってきた、彼の体温、心臓の音に心地よさに目を閉じた。
私と全然違う大きな男の人の体だったな。
柔らかい唇に、生温かい舌の感触……て、仕事中に何を考えてるのか。
かぁーーと、顔が赤くなっていくのが分って、頭を抱えて大きく左右に振る。
昼休みにこんな事を考えてしまうなんて、羞恥に耐えられなくて席を立った。