BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「やだ、もー可愛い!いつでもおいで!何でも聞いて!」
「あ、あの。あと聞きたい事があるんですけど……、主任ってどんな人なんですか?」
周りに聞こえないよう小さな声で三浦さんに耳打ちすれば、彼女がきょとんと首を傾げた。
「……山崎主任?いい人だよ。うちが大手エステサロンとの契約取れてるのも主任のおかげらしいしよ」
「そうなんですか?」
「そう。それに、優しいし、カッコいいし、今年30になるって言ってたっけ?あ、もしかしてー、好きになっちゃった?」
「はぁ?ち、違います!違います!!」
「奈良崎さん20歳だっけ?結構、年上好みなの?」
三浦さんの瞳がニヤニヤと細く半円を描いていくから、確実に恋ばなだと勘違いされている。
確かに、背も高くてかっこいいと思う。清潔感のある黒髪が大人っぽくセットされてるのも。一重だけどシュッとして顔も整っている。でも──。
「本当に違うんです!誤解です!」
「えー、またまたぁ。私、応援するよ」
「いやいやいや、先週スーパーで偶然会ったんですよ。主任と。それで……」
「運命感じちゃった?あの人──」
「だから、違いますって。そもそも今年30って年上過ぎて……」
"私みたいな子供相手にしないですよ!"と続けようとした台詞。それは、誰かに後ろからコツンと頭を叩かれる事で遮られることとなる。
「おじさんでごめんね」