BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
「……ひぃっ、主任!?」
すぐ後ろには遅れてきた主任が立っていて、私の隣にきて物静に腰を下ろした。
「奈良崎さんっていくつだっけ?」
「は、20歳です」
「若いねー。若いから仕事の吸収も早いかな?」
「え、あ、はい。お陰さまで……」
「いやー、俺はもうすぐ三十路だから最近は疲れが取れなくてさ」
主任の声に棘が、主任の表情が皮肉な笑いに見えるのは私の思い違いなのだろうか。
反対側に座る三浦さんは「チャンスだよ」と肘でつついてくるし。
違うのに、違うのに。あ、お礼言わなきゃ。あのこと誰にも言わないでくれてありがとうございますって。
頭がぐるぐるして言いたいことがまとまらない。頬の熱も上がって、目の前の物が二重に見えて焦点が合わなくなっていく。
「ちょっ、奈良崎さん」
「どうした──?」
三浦さんと主任の声が聞こえたけど、一気に身体が重くなって動けなくなった。
ううう、頭が痛い。ガンガンする。
確かにさっきまでいた居酒屋の筈なのに誰もいない。
え?何で……?テーブルの上はお皿やアルコールのグラスが出しっぱなしだ。
覚醒しきっていない頭でぼんやりしてると──。
「やっと起きたね。他の社員は二次会行ったけど、行けそう?それとも帰る?」
「……」