煩悩過多なイケメンは私に一目惚れしたようです【マンガシナリオ】
○体育館と校舎をむすぶ外の廊下。
生徒達は中庭か教室などでお昼を過ごしているため、ここには誰もいない。
向かい合っている千華と樹。
千華の腕には、おにぎりが入った袋がさげられている。
ビュオォォォと二人の間に、風が吹いた。
千華・樹「じゃんけん──!」
高校生二人の、真剣勝負「じゃんけん」の勝敗は……。
ガクッと膝をついた樹。
その手はかたく握られている。
樹「ま、負けた……!!」
千華「やった!!」
千華はピース──、もといチョキを天高くかかげている。
千華「このおにぎりは私のモノで──」
ぐう〜〜〜〜。腹の音が鳴った。
千華(…………)
千華はそっと下を見ると、腹を押さえてしゃがんでいる樹が目に入った。
樹も視線を感じたのか、千華を見上げる。
やや目元に朱がさしている樹は、「んだよ」とぶっきらぼうに言う。
その顔を見て目を丸くする千華。
千華(周りのことを気にしてなさそうなのに、お腹の音を聞かれたら恥ずかしがるなんて)
(そ、そのギャップはずるいのでは……)
千華は樹の前に視線を合わせるようにしゃがみ、「はい」とおにぎりが入った袋を差し出す。目を見開く樹。
千華「お腹すいてるんでしょう? 私はいいから、食べて」
樹「…………」
受け取らない樹に、強引に袋を握らせる千華。
樹「……あんたの事見直したよ、不潔女」
せっかくいい雰囲気だったと言うのに。
ぶち壊しにする樹の一言に、カチンときた千華。
すくっと立ち上がった千華は、そのまま帰ろうとする。
樹「おい、無視するなって!」
パシッと千華の腕を掴む樹。
振り向いた千華は、むしろ清々しいほどの笑顔をしていた。
千華「私は不潔女ではありません」
樹「だって、あの男と……ヤ、ヤうとしてたじゃん」
千華「!? それは誤解でっ」
樹「付き合ってればキスまでで、それ以降は結婚してからだろ? 婚前にヤ、ヤるなんて不潔だろっ」
樹はそう言いながら、顔を赤くしている。
千華「じ、自分で連呼しておいて恥ずかしそうにしないでっ! 私まで恥ずかしくなるから!」
樹「俺だって別に!言いたくて言ってない!」
千華(ピュアですか! 髪の毛はシルバーでも、心はピュアピンクですか!!)
千華「御厨くんとはあの後、本当に何もなかったから! 全部誤解!」
樹「そ、そーかよ。……じゃあ名前で呼んでやってもいいけど? 名前はなんて言うんだよ」
千華「──まずは、そちらが先に名乗ってはいかがですか?」
千華の対度に、片眉をピクリとさせた樹。
樹「……二組の九条樹」
千華「…………一組、如月千華です。」
樹「悪かったって如月。今度なんか奢る」
千華「今返してほしいんですけど。おにぎり代」
樹「…………」
ん、と手を差し出す千華。
樹「わーったよ。今返せばいいんだろ、ちょっとま────あ」
ポケットに手を入れた樹は固まる。
樹「財布忘れた」
千華「なっ、よくそれでおにぎり戦争に参加をっ!」
樹「今気づいたんだから、しかたねーだろ」
千華「はぁ……お金はもういいです。おにぎり一個だし。じゃあ、私はこれで」
今度こそ教室に帰ろうと歩き出した千華の背中に、樹は「如月」と呼びかける。
樹「本当に今度、なにか奢るから」
一拍置いて、振り返った千華。
千華「……期待せずに待っておきます、九条くん」
樹「おう」
ふっと笑った樹。
生徒達は中庭か教室などでお昼を過ごしているため、ここには誰もいない。
向かい合っている千華と樹。
千華の腕には、おにぎりが入った袋がさげられている。
ビュオォォォと二人の間に、風が吹いた。
千華・樹「じゃんけん──!」
高校生二人の、真剣勝負「じゃんけん」の勝敗は……。
ガクッと膝をついた樹。
その手はかたく握られている。
樹「ま、負けた……!!」
千華「やった!!」
千華はピース──、もといチョキを天高くかかげている。
千華「このおにぎりは私のモノで──」
ぐう〜〜〜〜。腹の音が鳴った。
千華(…………)
千華はそっと下を見ると、腹を押さえてしゃがんでいる樹が目に入った。
樹も視線を感じたのか、千華を見上げる。
やや目元に朱がさしている樹は、「んだよ」とぶっきらぼうに言う。
その顔を見て目を丸くする千華。
千華(周りのことを気にしてなさそうなのに、お腹の音を聞かれたら恥ずかしがるなんて)
(そ、そのギャップはずるいのでは……)
千華は樹の前に視線を合わせるようにしゃがみ、「はい」とおにぎりが入った袋を差し出す。目を見開く樹。
千華「お腹すいてるんでしょう? 私はいいから、食べて」
樹「…………」
受け取らない樹に、強引に袋を握らせる千華。
樹「……あんたの事見直したよ、不潔女」
せっかくいい雰囲気だったと言うのに。
ぶち壊しにする樹の一言に、カチンときた千華。
すくっと立ち上がった千華は、そのまま帰ろうとする。
樹「おい、無視するなって!」
パシッと千華の腕を掴む樹。
振り向いた千華は、むしろ清々しいほどの笑顔をしていた。
千華「私は不潔女ではありません」
樹「だって、あの男と……ヤ、ヤうとしてたじゃん」
千華「!? それは誤解でっ」
樹「付き合ってればキスまでで、それ以降は結婚してからだろ? 婚前にヤ、ヤるなんて不潔だろっ」
樹はそう言いながら、顔を赤くしている。
千華「じ、自分で連呼しておいて恥ずかしそうにしないでっ! 私まで恥ずかしくなるから!」
樹「俺だって別に!言いたくて言ってない!」
千華(ピュアですか! 髪の毛はシルバーでも、心はピュアピンクですか!!)
千華「御厨くんとはあの後、本当に何もなかったから! 全部誤解!」
樹「そ、そーかよ。……じゃあ名前で呼んでやってもいいけど? 名前はなんて言うんだよ」
千華「──まずは、そちらが先に名乗ってはいかがですか?」
千華の対度に、片眉をピクリとさせた樹。
樹「……二組の九条樹」
千華「…………一組、如月千華です。」
樹「悪かったって如月。今度なんか奢る」
千華「今返してほしいんですけど。おにぎり代」
樹「…………」
ん、と手を差し出す千華。
樹「わーったよ。今返せばいいんだろ、ちょっとま────あ」
ポケットに手を入れた樹は固まる。
樹「財布忘れた」
千華「なっ、よくそれでおにぎり戦争に参加をっ!」
樹「今気づいたんだから、しかたねーだろ」
千華「はぁ……お金はもういいです。おにぎり一個だし。じゃあ、私はこれで」
今度こそ教室に帰ろうと歩き出した千華の背中に、樹は「如月」と呼びかける。
樹「本当に今度、なにか奢るから」
一拍置いて、振り返った千華。
千華「……期待せずに待っておきます、九条くん」
樹「おう」
ふっと笑った樹。