【ショート・ショート】『雨の日の出来事』
それから三日後からは、傘を毎日のように持って登下校していた。雨雲の見えない、晴れの日だろうと構わずに。いつまた彼女と会えるか分からないからだ。いつまた、渡しそびれるかも知れないから……。
あの日の二日後に、見かけたのだが、傘を忘れてしまっていたのだった。また二日後に見かけた時は、彼氏と思わしき男と喧嘩をしているところだった。さらに三日後には、一人で居るところだったのだが、こわい顔で泣いているところだった。
タイミングが悪かったのだ。ずるずると渡せずに居てもう2週間近くになる。梅雨も終わりに近づいていた……。