彼氏がふたり
「唯斗くんっ!?」
「唯斗!?」
私と八巻の声が完全にかぶる。
顔を前に向けば、静かに階段を上がってくる彼の姿が目に入った。
「花倉さんって壮真目当てだったんだ?てっきり俺かと思ったー」
「ち、違……」
唯斗くんがにっこりと王子様の笑顔で下から覗き込んでくるから、驚きを隠せない。
肌白いし、髪の毛サラサラ。うわぁぁ、カッコ良すぎる!!
それに、いきなり至近距離は緊張しちゃうんだけど。
「こんなとこで仲良く逢い引きしてさぁ、本当につき合ってるのー?」
「はぁ?つき合ってるわけないだろ」
クスクスと目を細める唯斗くんに物凄く不機嫌な八巻の低い声が続く。
「壮真の彼女なら、俺とも仲良くしないとねー」
「う、うん、しよう!」
「おい。つき合ってないから」
「でもフリはするんでしょ?」
「うん、するするー!」
両手を合わせて目を輝かせていれば、八巻の視線が痛い程突き刺さってくるけどそんなの無視。
唯斗くんと仲良く出来るなら、コイツが泣いて嫌がろうが絶対にするし。
「今日、壮真の家に俺も一緒に遊びに行きたいなぁ。花倉さん、俺も行っていい?」
「あは、一緒に行こう!」
「来ていいって言ってないだろ」