彼氏がふたり B
同じクラスになってから、3ヶ月とちょっと。
唯斗くんと放課後、遊べる日がくるなんて──。
凄く幸せなんですけど。
***
「ちょっと、美麻っどういう事!?」
「同い年に興味無かったんじゃなかったのかよ?つーか1時間目どこに行ってたんだよ」
昼休み。中庭の木陰のあるベンチで利香と穂波の3人でお弁当を広げると。2人が目を丸くしてギャーギャー騒ぎながら顔を近付けてきた。
「あはっ、フリだよ。つき合ってるフリ」
周囲を見渡して他に生徒がいないのを確認してから、にんまりと口を開く。
「何でフリなんだよ?」
「そうだよー!美麻、彼氏出来なくなっちゃうじゃん!」
「別《べっつ》にー。この学校で彼氏いらないし」
これは嘘じゃない。本当だ。
学校生活の中で、変な勘違い男に声かけられなくてすむのはありがたい。
「それにー、ほら唯斗くんともお近付きになれるし」
「えー、振られて諦めたんじゃなかったのぉ?」
利香の"振られて"という言葉にカチンとなる。告白して振られたわけじゃないんだってば!
「唯斗くん自体どうでもいいの!ただ、まぁやっぱちょっと私のプライドが許さないっていうか」
「八巻利用して王子と仲良くなるって事か?」
「ま、まぁ。そんな感じかな」
「ゲーム感覚か。さっすが、美麻はやること違うなー」
ケラケラと笑う穂波に少しだけ罪悪感を抱く。