彼氏がふたり



XLって一体なんなワケ?服のサイズかよ。あんな大きなの入るわけないじゃん!
利香のジェスチャーを思い出してプルプル震えていると。



「花倉さん、どうしたの?顔真っ青だよー?やっぱり俺いない方が良かった??」


すぐ隣にキョトンと不思議そうな唯斗くんの顔があるから、慌てて首と両手を大きく横に振った。



「な、に言ってるの?人数多い方が楽しいじゃん」

「ふーん。なんかさー、花倉さんって遠くから見てる雰囲気と違うね。壮真?」

「……心底どうでもいい」


キラキラ爽やかに話す唯斗くんの向こう側には、自転車を押して歩く八巻がムスッとしている。

くっ、八巻の野郎。返事もいちいち癇に触るんだよな。
でも、まぁ唯斗くんとも連絡先交換できたし、そこは感謝してるけど。




「着いた、着いた。ここが壮真の家だよー」


授業が終わった後、本当に八巻の家に遊びに行く事になったのだけど。

学校から徒歩約20分。八巻の家は2階建ての小さな古いアパートだった。



「先、入ってて」


そう言って、八巻が唯斗くんに鍵を手渡して押していた自転車を片付けに向かう。



「花倉さん、行こっかー」

「う、うん?」


唯斗くんが当たり前のように手を差し出すから、思わず手を乗せてしまったけど。
あれ、お友達って手を繋ぐんだっけ──?


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