彼氏がふたり
「ほら、あとさー。恋人っぽいこと、練習しておこうよ?」
「えー、そこまでしなくてもよくない」
「そうだ。必要ないだろ?」
「いや、しておいた方がいいよ。壮真、女の子とつき合った事ないから、異性との距離感とか教えてあげてよ。お願い、美麻ちゃん」
「えぇー、何それぇ??」
という事は、やま……壮真って童貞なのか。
勝手に仲間意識が生まれる。
ちらりと、壮真に目を向けると「……異性?距離感?」となにやらブツブツ呟いているではないか。
「壮真も。そんなムスッと無愛想な顔してると全然恋人同士に見えないからな。今後のためにも絶対に美麻ちゃんに協力して貰った方がいいって」
「あ、あぁ。そういうもんなのか」
おっかしーの。普段、眉間に皺寄せてるくせに、唯斗くんの言うことには素直に頷くんだ。
「本当《ほんとー》に、美麻ちゃんがいてくれて良かった!壮真があの変な噂で侵食されたら俺すっげー悲しいからさ」
と、唯斗くんがキラキラと瞳を輝かせて私の手を両手で掴んでくる。
私だって周りが思っている程 経験豊富じゃないけど、男の子とおつき合いをきた事は2回ある。
「あは、任せてよ。何でも教えてあげる」
なにより、壮真より偉い立場にあるのだと優越感を抱いてしまったのは事実。