彼氏がふたり
「壮真ぁ、手繋いでいい?」
「あ?あぁ」
壮真を敷布団の上に座らせて、その腕をピタッと絡めて肩に頭を乗せてみる。
「美麻ちゃんノリノリだね!」
「……くすぐったい」
「2人とも恋人に見えるよー。壮真、どう?女の子って柔らかくなーい?」
「まぁ、ちょっとは」
「ほーら、ふわふわで甘くていい匂いしない?」
「全くしない。むしろ気持ち悪い」
「ちょっとどういう意味よ!?」
唯斗くんはきっと完全に面白がってる。壮真は戸惑いながらもされるがまま。しかも失礼なこと言ってるし。
そんな2人のやり取りに突っ込みを入れつつ、正直ここまでする必要あるのかと疑問も生じている時だった。
「うわー、妬けるけど癖になりそうだなぁ」
唯斗くんが床に手をついて身を前に乗り出して、ゆっくりと壮真に近付いていく。
そのまま目の前で、チュッと軽いフレンチキスが交わされるから──その出来事を上手く処理できない。
「ちょっ、唯斗やめろよ」
「えー、だって壮真の反応面白いんだもん」
壮真は赤くなってるし、何この2人本当にデキてるの?
呆然とする私に顔を向けて、唯斗くんがにっこりとこう言った。
「美麻ちゃんも、チューする?」
ずっと好きだった男の子。王子様のように爽やかな彼と一気に距離が縮まっていく。