彼氏がふたり B
彼氏達とデート



4つ年の離れたお姉ちゃんがいた。
凄く美人でモテて、いつも男の子に囲まれていた女王様だった。
サバサバしてるけど、いるだけでその場が華やかになるような──。

ずっと憧れていた。お姉ちゃんみたくなりたかった。


大好きな存在だったのに、彼女は突然消えてしまった。





「美麻ちゃん、遊び来ちゃったー」


ファミレスの窓際に座る男の子が、私に向かってひらひらと手を振ってみせる。
唯斗くんだ。その向かいに座るのは私の方を全く見てない壮真。
2人とも制服じゃないところをみると、一端家に帰って着替えてきたのだろうか。



「バイト何時に終わるの?その後、遊びに行こー。あ、何か予定あった?」

「な、ないけど」

「じゃぁ、決まりだね!3人でデートだ。俺、あの映画観たくて。怖いやつ」


唯斗くんが子犬のように人懐っこい笑顔をみせる。
おかしいな。落とす筈なのに、結局は私の方が振り回されている。



「もう、しょうがないな。一緒に行ってあげる」

「いや、無理しなくていいぞ」


さっきまで無言だった壮真がボソッと声を出すから少し驚いた。一応、こいつ話聞いてたんだ。



「はぁ?無理してないけど」

「俺は唯斗と2人で遊びに行きたい」

「あんた私の彼氏(仮)でしょ?そう言われると意地でも遊びたくなるんだけど」

「………あぁ?」



「ふはっ、2人とも睨み合い過ぎだって!」



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