彼氏がふたり
「えー、あんな自信たっぷりで行ったのに?」
「ドンマイ、ドンマイ。経験豊富な美麻っちなら男に困んねーだろ」
教室に戻ると利香と穂波にギャハハハと笑われる羽目となる。
利香は金髪ギャル系、穂波は口の悪いさっぱりギャルで、2人とも同じグループの女子だ。
確かに、絶対に断られるわけがないと高を括っていたのは認める。
「みーんなの王子様なんかに手ぇ出そうとするからバチ当たったんだろ」
「だって、顔がイケてるから遊んであげてもいいかなって思ったのに。あれは真面目でつまんないよ」
続けられる穂波の言葉はグサグサと胸に突き刺さるけど、平気なフリをして自身の長い髪を耳に掛け上げた。
「じゃぁさ。今日、私の彼氏と彼氏の友達と遊ぼ?美麻のこと紹介しろってうるさくてさぁ」
今度は利香がスマホを片手に目を輝かせてくるから、フッと余裕の笑みを見せて口を開く。
「ごめーん、今日バイトだし。それに、私 同い年ってあんま興味ないんだよねぇ」
「唯斗くんだって同い年じゃん」
「うーん。今回は、たまたま興味あっただけ。ほら王子なだけに?顔もいいし」
「残念、一緒に遊べると思ったのに」
「流石、美麻っちは年上の大人が好きなんだもんな」
「うん。あは、やっぱり付き合うなら絶対に年上でしょ?優しくてお金あっていいよ」
ごめんなさい。全部、嘘です。