彼氏がふたり
「うわ、ごみ屋敷。ちょっとは片付けなさいよ」
「じゃぁ、入るな」
「ねぇねぇ、怖いのとエロいのどっちがいー?」
結局、壮真の家に来る途中でDVDをレンタルして、またこの汚い部屋に入ることになる。
「エロって……借りられたの?」
「今こっちいない兄ちゃんのカード持ってるから」
「俺、エロいのがいい」
「あはは、壮真、怖いの苦手だもんなー。映画も最初しぶってたし」
敷きっぱなしの布団の上で、唯斗くんを真ん中に3人並んで座り込む。
狭くて物が散乱する部屋の中、必然的に人との距離が近い。唯斗くんの肩が当たるから、自身の肩がビクリと震えた。
静かに手元を探られ、壮真の死角になるよう私の手をキュッと掴む。
目が合うと、にっこりと笑顔を向けられた。
「あっ、やん、恥ずかしい。やだぁ」
「ここ気持ち良いの?」
「あんっ、あん、そんなことない」
暗がりの部屋にエロDVDの画面が浮かび上がり、可愛い女の子が下着姿で登場した。白いレースのついたショーツ越しに男の指が上下移動している。
エロいのを観るのははじめてじゃない。中学の時、友達とふざけて観たことはあったけど。
私と唯斗くんが手を繋いでいることに、多分、きっと壮真は気付いていない。