彼氏がふたり



「あぁ?」


突然の話に、壮真は意味が分からないとばかりに目が点状態だ。



「4つ離れててね。凄く美人で、モテて、いつも男の子に囲まれてる女王様だったの」


ポツリポツリと言葉を落としていく中でも、部屋内には「ああん、気持ちいよぉ」と女の子の声が響いている。汚部屋にエロと真面目な話でカオス過ぎる空間。






「高校卒業と同時に家を出て、2年後におっぱい切ったの」


テレビ画面には不自然に大きく揺れる胸が強調されていた。男の手によって形を崩されてピンク色の先を摘まみ転がされている。

姉のソレが真っ平になったのを目の当たりにした時、全身が凍り付いたと同時に吐き気がして胃液が込み上げてきた。



「嫌悪しかなかった。ホルモンなんか打って髭なんか生やしてさ。キモい、無理、ありえないって全身鳥肌ものだしー」

「……」

「壮真は知ってるよね。唯斗くんのお兄ちゃんもなんでしょう?」





──俺の兄ちゃん手術で胸つけたんだけど、あれ本物よりヤバイよー


去年、違うクラスだった唯斗くんとクラスメートの会話が偶然耳に入った。
どうしてそんな話をしていたか経緯(いきさつ)は分からないけど、彼が余りにも平然としてるから自分が恥ずかしくなったのを覚えている。



「私は、常識とか普通とか、他人に何を言われようが左右されない彼が欲しいの」


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