彼氏がふたり



放課後。バイトがない日は壮真の家に遊びに行って、ゲームをしたりDVDを観たり3人でなんとなく過ごす日々──。



「ちょっと、電話してくるねー」


唯斗くんのスマホは結構な頻度で音を立てる。その場で取ることもあれば、外に出て行ってしまうこともある。
画面には"かなえ"だけでなく、他の女の子や男の子の名前も様々。

確かに、唯斗くんは王子様で容姿もいいし優しいし、男女問わずモテるのだろうけど。





「壮真、あんたの彼氏浮気してない?」

「……」

「ねぇ、気付いてるよね?いいの??」

「別に今に始まったことじゃない」


ピコンとスマホが鳴る。私のじゃないから、今度は壮真のものだ。


───────────

(唯斗)
今日はもう帰るねー!
美麻ちゃんと楽しんで♡

───────────


壮真のスマホを無理やり覗き込めば、こんなメッセージとペコリと謝るうさぎのスタンプが1つ。



「ねぇ、女の子だったよね?さっきの電話の相手」

「知らない」

「普通問い詰めるもんじゃないのぉ?私だったら……」
「唯斗はお前じゃ手におえない」

「それどういう意味よ」

「唯斗もいないしもう帰れ」


静かな部屋に壮真の低い声が響いた。
平気なフリしちゃって、本当は気になってるくせに。



「分かったぁ。あんた、本当(ほんと)のこと知るのが恐いんでしょ?行かないでーって我が儘言って逃げられちゃうのが嫌なんでしょ?うわ、ダサっ。格好悪ーい」



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