彼氏がふたり B
「べ、別に何もない」
「前に3人でDVD見てた時、美麻と唯斗は手を繋いでいた」
「……はぁ?」
「俺に協力すると言って、結局は唯斗に近づくためだったんだな」
「ち、違うし。それは壮真の勘違……」
「お前、唯斗とヤったことあんの?俺はある」
壮真がフッと口元を少し緩めるから、ガンッと頭を何かで殴られたような衝撃を受けた。
男同士でヤッていることよりも、壮真が私を疑って敵対心していることがショックだった。
「わ、別れなよ。あんな男」
「あぁ?」
「あんな奴、壮真に合わない!壮真に酷いことするじゃん!壮真にはもっといい人いるよ!だって……」
「黙れよ」
部屋の中に壮真の低い声のトーンが響き渡って、一気に緊張した空気が走る。
冷たい瞳を向けられるから、くやしくて悲しくて体が震えてくる。
「だ、だって、唯斗くんは壮真に酷いことするし。壮真のこと大切にしない……じゃん」
ポツリと出た台詞も震える。と同時に、瞳からボロッと大きな涙の粒が溢れ落ちた。
「……っや、だ。壮真っ…のあんな辛そうなの、みるの…」
しゃくり上がる声。泣き顔を見られるのが嫌で顔を両手で覆ってるから、壮真がどんな顔をしているか分からない。
けど、背中に回された手が不器用で、力加減もできてなくて。壮真らしいなーと胸が締め付けられる。
「壮真ぁ、……好き」