彼氏がふたり
*****



「はじめてだねー。美麻ちゃんから連絡くれるの」

「えー、そうだっけぇ」

「どうしたの?ホテルでも行く?」

「壮真と別れるなら行くけどー」
「あ、それは無理」


即答した唯斗くんが、にっこりと爽やかな笑顔を見せる。



「ねーえ、唯斗くん。私ね唯斗くんの言う通り、壮真が好きみたい」

「ふはっ、やっぱりー。で、どうすんの?」

「好きって言ったら振られちゃって」

「マジで告白(こくっ)たの?無理だって言ったじゃん」

「でも、キスはしても良いみたいでさぁ」

「……ふーん」


眉がピクリと動いて口元が一瞬ひきつった。そして、彼の大きな瞳の瞳孔が開いて輝きが増していく。

退屈で刺激を求めてるくせに壮真を手放さないのは、どうしてなのだろうか。
彼ならもっと面白いオモチャ(男でも女でも)手に入れられる筈なのに。


壮真がこれ以上酷いことをされるのは嫌だ。

でも、常識とか普通とか、他人に何を言われようが左右されない彼は、壮真にも私にも手に追えない──。



「ねぇ、唯斗くん。3人で付き合おうよ、楽しいよ」

「うわー、俺のこと監視すんの?」


うわ、悪い笑顔。
きっと、唯斗くんは全部お見通しなのだろう。この展開を面白がっているのが十分に伝わってくる。


この男が私のことを利用するなら、私だって利用してやるんだ。



どちらからともなく距離が縮まって、私と唯斗くんの唇が重なった。

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