彼氏がふたり



「ゆっくり、優しくしてあげるよー」

「ちょっと!唯斗くんじゃなくて壮真ならって言ったじゃん」

「だいじょーぶ。最後は壮真だから」


暗がりの部屋にBGMはAV女優の叫び声。
はじめてなのに憧れとは程遠いものだけど、不思議と怖い気持ちは無かった。むしろ落ち着いていたと思う。


唯斗くんの解説と真面目に対応する壮真。
まさぐり合う男の人の手が4本あって、くすぐったくておかしくて笑いが止まらなかった。



「ね、やだ、くすぐったいし……恥ず…ひゃっ」

「狭っ。壮真、ふやかして柔らかくてしてから、ゆっくりな」

「……わ、分かった」


時々、ごみをまとめてあげる事はあるけど、物が散乱した相変わらずの汚い部屋。



「美麻ちゃん、可愛いー」

「……み、美麻、かわいい…」

「……っ、」


言わされてる感満載だけど、目の前に壮真がいて、乱暴にでも優しく頭を撫でてくれるから十分だ。身体の真ん中の熱が痛い位に上がっていく。

辛そうに息を切らして、眉をしかめて、間抜けな顔を見せる壮真。全部、この瞬間だけは私だけのものだ──。





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