彼氏がふたり
「今の学校の奴なんだろ?こっちは証拠だってあるんだぜ、お前の写真だって」
「……ってぇな、黙れよ。それはお互いさま」
「あれー?八巻くんじゃん。なんか面白そうな話してるけど、私も混ぜてよ」
気が付いたら、八巻本人と八巻と喧嘩している男の人に近付いていた。
「……なんだこの女。南高の制服じゃん。壮真知り合い?」
「八巻くんと同じクラスなんですー!」
「はぁ?何でお前……」
八巻の前に立つ派手な髪の色をした男の人の腕を組んだ。目をきゅるんとさせて下から覗き込み、口元をにっこり緩める。
自分でも顔は可愛い部類に入ると思っている。告白もよくされるし、異性にモテる自信があった。
「あは、高校生活おしまいってなぁに??知りたいなぁ」
ピトッと男の人の肩に自身の頭を乗っけて、猫撫で声を出す。
聞き出してやる。今日の仕返しに八巻の弱味握ってやろうじゃん。
「うわー、なんだこの女。気色悪いんだけど。壮真、助けて」
「知らない」
「鳥肌立ってきたんだけど。おい、女 触んじゃねーよ。離れろよ!!」
「きゃっ……、」
名前も知らない男の人が怪訝そうに眉をしかめて、腕を勢いよく振って引き剥がされるから。その反動で私は地面に転がった。