彼氏がふたり
「よし、行ったか……?」
「……行ったね、良かったー」
はぁーと大きな溜め息と同時に脱力するように、八巻と一緒にその場にしゃがみ込む。
「ったく、お前が変なとこで割り込んでくるから」
「八巻くんが悪いんでしょう??学校であんな悪態とるから。だから、ちょっと仕返ししてやろうと……」
「つーか制服。何でこんな時間にウロウロしてんだ?」
「遊んでたんじゃないし、バイトだもん」
「あ、そ」
八巻が物凄く興味なさそうに、くるりと背中を私に向ける。
聞いといてその態度は一体何なの?なんか、ムカつくんですけど。
その時、ピコンとメッセージの通知の音が鳴った。
「あー、アイツも撒いたって」
「アイツって、さっき私の事突き飛ばしてきた奴?」
「あれはお前が悪いだろ?」
「はぁ?喧嘩してたんじゃないの?連絡取り合ってるなんて意味分かんない」
「……」
「あ、分かった。痴話喧嘩でしょ?」
「……」
「だって、おかしーじゃない。女の子に腕組まれて気色悪いって。壮真、助けて!!だなんてさぁ。もしかしてアンタもそっち系……」
「うるっせー。それ以上言ったら女でもぶん殴る」
しゃがみ込んだ状態で、八巻が"ドンッ"と壁に手をついて睨みを利かせてくるけど。私の口はにんまりと緩む。