彼氏がふたり
八巻 壮真。女の子なんて興味ありませんって顔して、すかしてるタイプたと思ってたけど。
コイツの弱点、見ーつけた。
***
「ねぇ、SNS見たー?」
「3組の八巻のやつでしょ?あれヤバいよねー」
「男が男好きとか信じらんなーい」
「つまりさー、唯斗くんとデキてるんかな」
「王子、優しいからねぇ。リアルBLの世界って逆にエモいわ」
「それ、あんただけだって」
クスクスと笑い声と共に飛び交う黄色い声。
次の日。学校に行くと、凄い勢いで八巻の噂が広まっていた。
「あ、美麻おはよー。ねぇ、聞いた?うちのクラスの八巻の噂~」
「もしマジだとしても本人の自由だしどうでもよくね?」
教室に入ると利香が興味津々に声をかけてきて、続いて穂波が面倒くさそうに口を開く。
「な、何がどうなってんの?」
私、まだ誰にも話してないのに。どうしてこんな話が広まってるの?
唖然と立ち尽くしていると、丁度その時 教室の扉が開かれて張本人が入ってくる。
教室内が一気に空気が静まりかえり、視線が一斉に向けられた。
こいつは周りの目を気にする素振りも見せないで、無言のまま自分の席に直行する。
こいつの席は私の席の目の前なんだけど。
「あ、おはよ。えっと、私まだ何も……」
ギロリと向けられる冷たい目に、一瞬たじろぐ。