この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です
「瑛茉、せっかくお兄ちゃん帰って来たんだから
一緒にご飯食べたらよかったのに」
夕飯が終わって
お母さんがお皿を片付けてた
「ごめん、寝てた
お父さん、お風呂?」
「うん、もおすぐあがると思うけどね」
「漸ちゃんは?」
「お兄ちゃん出掛けるって
さっき出て行ったよ
友達のところじゃない?」
「友達…?
また彼女じゃない?」
「今いないって言ってたよ」
「そ…
じゃあ今日は友達だけど
明日は彼女になってるかもね」
なんでそんなすぐ彼女できるかね?
誰でもいいのか?
「瑛茉は彼氏作らないの?」
「んー…
私は漸ちゃんみたいにモテないから…」
もとい…軽くないから
「瑛茉、好きな人いないの?
今は女の子から積極的にいかないと!」
「フラれたらヤダし…」
「そんなのわかんないじゃない」
そーかな…?
私にはわかるよ
私ももぉ子供じゃない
ダメなことぐらい
わかるよ
「ケーキ食べようかな…」
冷蔵庫にあるケーキの箱の中を覗いた
あ…やっぱりチョコケーキ残ってる
ヤッタ!
「漸ちゃん、何ケーキ食べてた?」
「チーズだったかな?
お母さんモンブラン食べたから…」
お兄ちゃんはいつも
チョコケーキ選ばないってわかってた
だから先に選んでもらって結構
食べ物の好みが違うから
いつもこーゆーのケンカにならなかった
兄妹喧嘩ってしたことない
だいたい私が拗ねて終わる
お兄ちゃんは私を相手にしてない
「ケーキの前にさくらんぼ食べよ!
甘くなくなるから…」
こんなに美味しいのに
さくらんぼ嫌いな人っているんだ
お兄ちゃんバカじゃない?